保団連の厚労省交渉の中に「保険で良い歯科治療を」と言うスローガンが新しく出てきた。今週の厚労省交渉の時も前半は私も同席するが、全く賛同できない。
最初にダイレクトに言ってしまえば・・・「どういうことだ?」と疑問を持つ諸氏も多いのではないだろうか。
今までの保険治療で一生懸命コスト割れを気にせず誠心誠意取り組んでいる保険医とまじめに通院している患者に、とても、いや、酷く、失礼な話ではないか。
気持ちはわかる。診療報酬の評価が諸外国に比べ極端に悪い日本の歯科治療において、それを改善したいという気持ちはわかるが、このスローガンでは、今までまともな治療をしてきていないことになる。そしてそれはお国の評価が低い所為だと言うことになる。
冗談じゃない。まともな治療も出来ない、出来損ないの、倫理観が欠如している歯科医師の言い分を全体の言い分のように持って行くのはものすごい抵抗がありますよ。
例えば、歯内療法などがいつもやり玉に挙がるが、確かに米国の1/20の評価ではいかんともしがたい。しかし、歯科医師の倫理で、多くのエンドセミナーに足繁く通い、ラバーダムは当たり前、もちろんオラシールでラバー辺縁は封鎖する、拡大も充填も満足いくまで、シーラーは必要があればロイコシールやMTAシーラーを使う、不出来なら再根充は当たり前、、、、もちろん保険で、、、、そんな歯科医師は私を含めごまんといるはずだ。
この点数でやっていけるはずがない、、といういいわけの背景には、そんなことをしたら倒産するとでも言いたいのだろうか。するわけがない。患者を馬鹿にしてはいけない。うちは少なくとも30年近く大丈夫だ。ただし、金は貯まらないというジレンマはある。そこなのか?保団連。
評価が低いからそうしないのか?世の中の歯科医師達はそうなのか?コストがかかるからかからないように適当な治療をしてきたのか?そう、これは首都圏ターゲットのいくつかの開業医アンケートの結果とも連動することなのだ。
私がいつも言うように、保険診療を担保にしているくせに、それを否定することで自費診療が成り立つという、とてもいやらしい生き方をしている方が多いと言うことだろう。
ある患者さんが東京の某世田谷ど真ん中から引っ越されてきた。近所の歯科医院で上顎前歯にレジン前装冠(保険)を1ヶ月前に入れたのだそうだ。
正直困った。。あまりの不出来に困ってしまった。
患者さんも担当医に言ったそうだ。もう少しきちんとキレイにならないのですか?
担当医はにこりと笑いながら言った。
「保険なのでこれ以上は無理ですが、自費のオールセラミックならキレイになりますよ」
保険でまともに出来ないやつが、自費でまともに出来るとは思えないが、こういう歯科医院が「保険で良い歯科治療を」というスローガンに賛同しているとしたら、そりゃ、誰だって吐きそうになるだろ。そして、こういう例は都会だから田舎だからとかもちろん関係はない。
そう、これは歯科医師の問題なのだ。それを厚労省の問題にすり替える保団連は、潔くない。「点数が低い評価が低い!」のは、全く別問題としてエビデンスベースと歯科医療経済学的に取り上げなければ、歯科医師の評価自体が地に落ちることは間違いない。
余談だが、保団連は技工士問題も衛生士問題も行政問題にすり替える。違うだろ。パラデンタルスタッフの責任は歯科医師にあるだろう。こういうすり替えは、ほんと、左翼が得意とするやり口だから気をつけなければならない。
今日は、いつもの人数を一人っ子診療で、心身ともに疲労してるわ(笑)。。勤務医ww。
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