本当に久しぶりの大阪でした。5年前までは三沢ー伊丹が普通に飛んでいたので、頻繁に訪れていた大阪でしたが、この路線が休止になってから5年、全く行かなかった大阪です。今年の春に路線が復活したのを知り、何かの機会と思っていた矢先、東京のSD*青木先生のお誘いで今回の第4回
CF Network(Craniomandiblar function network)大阪大会に初めて参加させていただきました。
そして、本当に久しぶりに同じ共通言語を話す先生方のお話を聞いて恐悦至極に加え、いやぁ頭使いましたね。ほ、本当にうれしかった訳で。。
共通言語とはCMSに関わる様々な事象を思考するプログラミング言語です(笑)。さびしいかな、近所にこの話が出来るひとがだぁれもいないのです。
さて、内容に関して色々考えさせられる部分も沢山ありましたが、基本的に20年前から自分でやっている事がほとんど。これはワシにとって当たり前の事なんです。ただ日常臨床で慣れから来る経験則が先に立っちゃって補綴に先立つセファロ分析とか粗末にしてたなと反省。これからきちんとやります(笑)。で、ああ、自己流だったけど間違っちゃいないと確認(笑)。
こう言う歯科治療を日本中の先生方何人が理解できるんだろうかとふと思った時、東北大学の菅野太郎先生の話をちょいと思い出す。スカンジナビアで補綴の医局員が20年前の1/10に減った本当の理由は、デジタルデンティストリーでも何でも無い。再建治療の手技が理論的に不本意であっても、その後のその人の人生をその所為で大きく変えてしまったのだろうか?という世界中の後ろ向きな臨床研究の結果、本当に多くの検証が行われ論文が書かれ、、答えは「意外と結構何も問題なし」というものすごい意外な結果で(笑)、若い先生方が「なぁ〜んだ、適当でいいじゃん」となってしまった。
このエビデンスからなら、ワシらの臨床や佐藤先生の咬合医学の提言など、自己満足の世界でしかなくなってしまうわけ。で、否定するにも逆にエビデンスが不足しすぎているorz 。。。
その証拠に、顎咬合学会でのCMF*の取り上げ方は、本当に特別な特殊なマニアックな再建治療、、というカテゴリーのような気がして、世の中からそういう目で見られる事は如何な物かと思ったりする。ワシの勉強会でもこの言語で話が出来ない現実をワシ自身が解決しようとするとかなりのエネルギーが必要だからなぁ。20年くらい前に本気でCMSに取り組もうとDr.スラビチェックのものすごい本数の講演ビデオを見ることを毎回のテーマにしたら、数名が「つまらない」と言ってワシの勉強会を去っていった(笑)。そりゃそうかも。直接利益になるかならないか当時の若い歯科医師も必死だったからね。あ、別にいいんだけれど(笑)。
これはワシも含め、20年以上前からこの事に取り組んでいる先生方のふがいのなさなのかなと思ったりした事もあった。全く市民権を得ていないとも言われるし。高価な機器を購入できるマニアックな先生方の治療法というイメージはぬぐえない。その理屈でどれだけの人が幸福になったかという臨床研究リポートすらほとんどない。あるいはこの理論で某ドクターが大金持ちになっているという話も聞かない(笑)。
しかし、いやいや、そうではなかった。昨今の注視されるデンティストリーってアメリカンナイズされたくだんのQ社の批判対象である「
商売になる」歯科治療なわけで
自分の行っているこの事こそが付加価値を持って他の患者を引き寄せる手段としてのデンタルビジネスと言う世界。この5〜6年どっぷりと海外の学会に漬かっているワシ、の周囲の「インプラントの世界」は特にそうかもしれませんね。インプラント臨床における自分の26年の経験則がどこかに隠れてしまうくらい。
ところがCMS*に関する言語を話す先生方は何か違う感じ。結果、もしかしたらそういうデンタルビジネスに繋がるとしても、再建治療の経過が見えにくいこう言う考え方は決して華やかな付加価値として表に出る事はないもの。だから逆に素晴らしいと感じたわけですな。
これはビジネスになるかならないかではなく、患者のためになるかならないかが前面に出てきている事。ダレのために何の目的で?がとてもクリア。と言う事は、、、何のためにって言う目的とか、、いうエビデンスがないとか、あ、菅野先生の話は忘れてください(笑)。
ジャーナリストの秋本氏の話を何度も引き合いに出して恐縮するが、再建治療のゴールは患者本位になってくるものだけれど、その確定診断の隠れた部分をCMF*的思考では患者に丸投げする事は決してない訳。当然、疾病治療のゴールは何処まで行っても医者が決める。しかし再建治療は違う。ところがCMF*の様にここまで再検治療の診断に入り込みゴールを左右する事って通常の歯科治療では無いだろう。
話を戻そう。当院では治療のゴールは Masticatory Organの全てのfunctionが正常に戻っているか否かであり、そのための術前術後そのもっと後、何回も、レーダーチャートを使用している。加えてこれからの課題として、そのオクルージョンを含めたところの全てのファンクションはエイジングといかに関わっていくのか、これこそがワシの今のライフワークとなりつつある。今回のCFネットワークの内容は、むしろ20年前のワシならどっぷりとはまりこむけれど、もう経験があるので新しいことではなく検証する域。
さっきの話じゃないが、
エビデンスでは90%の患者がそこその歯科的理屈で不幸になっていない現実(例えば下顎片側1点しかバイトしていないにもかかわらず20年以上何の問題も無い事例とか)を見ると、残10%の患者のためにこれだけの知識と技術を駆使すると言うのは、なんとも日本らしいというか何というか、素晴らしいと感じたわけです。
うはははは、アメリカ人にはまねできないだろ。。
さ、ちゃんと読めないけどもう一度目を通そうかな「The Masticatory Organ」。
良い大阪でした。
*SD(super dentist) CMS(craniomandibular system) CMF(craniomandibular function)