3月 08, 2019

たまには良い話が出るじゃない(笑)


通常、ゴミ箱直行の月間保団連という雑誌。会費を払っている以上、毎月送られてくる。今月号は久し振りに目を見張った。そうなんですよ。こういう記事満載じゃなければ医療団体の機関誌とは言えないのだ。環境問題や人権問題の記事など、非常に重要な話だろうが、現状では見たくもない。しかし、こと、このような仕事直結の論文は大歓迎だし大いに共感した。

曖昧な「歯科医業」の定義と弊害と題する素晴らしい論文にお会いした。
医師法と歯科医師法の大きな矛盾点を筆者はついている。それは私も30年以上前から感じていた、何かもやもやとした疑問だ。

卒業したての春、開業医のある先輩が医師と酒場で話をしていた。私はおこぼれを預かりに同席。

「ものすごく腫れてきた患者が酷く痛がって来院したんですよ」
「ほう、それじゃあとりあえず君たちも感染症なら抗生剤を点滴静注して痛み止め流すんだろ?」
私は当然先輩がそのことを肯定するのだと思っていたら、あにはからんや、飛び出した言葉は、、、

「いえいえ、点滴など怖くて出来ませんし、それは医業だからやってはいけないと教わりました。」

新米の私には意味が分からなかったのを覚えている。確かに歯科医師法をよく読むと、これは医業に当たり歯科医業の定義(本来何もない、医業ではない歯科医師に当てはまること)から外れる。そして医師法違反なのだ。しかし、この古くさい歯科医師法をそのまま遵守する事で、実は患者も我々も大きな不利益を被ることが多々あるから、私たちは医業としての一面を持っている処置手術を行っているのだ。

近代歯科医療は、歯科医師法が出来た当時の貧弱な環境ではない。何処までも一般的な医療行為に近いものが要求されるようになってきた。本論文はそういう矛盾をきわめて冷静に鋭く突いている。


今朝ある先生から電話があった。薬問屋が「ロピオン」は歯科の適用がないから売ってくれないのだが馬鹿にされているのか?なぜ売ってくれないのだ?
管理薬剤師は保健所の指導だという。そして、保健所はその使用は医業に当たるのでダメだと指導したという。これは厚労省の指導なのだという。

この答えは、行政が歯科医師を医師だとは思っていないからであり、問屋には監査で厳しく注意する。「歯科適用の無いものは歯科に売ってはいけない」と。
行政は何処までも間抜けだと思う反面、この歯科医師法という古くさい法律を変えない限り、役人はそれを遵守しようとするわけだろう。厳密に言えば我々は毎日医師法違反をしているのかもしれない。だから、人の命に関わりそうなことが歯科医業の中で出てきても、その命は救ってはいけないのだろうなと法的には漠然と思ったりする。

ぜひ、この論文は一読して頂きたいものだ。



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