7月 03, 2014

院内感染対策指針

歯科におけるハンドピースや使用器具(ファイルやその他口腔に入るものすべて)に関しての院内感染対策について厚労省の指針が、新たに大慌てで発表されました。マスコミでの器具の使い回し疑惑が報道され、ま、以前から「そんなの滅菌するの当たり前でしょ?」という先生方はのぞき、大慌てで自院のチェックをする先生方もいらっしゃったのではないでしょうか。
その証拠に、シロナというメーカーのDACユニバーサルという、ハンドピースや患者使用の小物をわずか16分で完璧に滅菌するオートクレーブが爆発的に注文殺到しています。確かに現行の商品としてはこれ以上に良い製品は見当たりません。

これはもちろん現在当院でも使用していますが、かつては15年ほど前からですと、ウチではオイルライザーという消毒機器を使用していました。オイルを140度くらいまで加熱して、そこにハンドピースを5分間ほど入れる機械なのです。ところが、三沢基地の従業員家族用のメディケアシステムに登録した時に、調査に来た米国の担当官から「これだめじゃん」とだめ出しをされたのを覚えています。メディケア登録するのなら、完全に滅菌するシステムを導入するか、患者ごとにハンドピースを来院人数分用意しなさいと。

当時DACユニバーサルのような素晴らしい機械はなかったので、かといってオートクレーブで1時間近くもかけて滅菌して、しかも日に何度もやったらあっという間にハンドピースは壊れるし(当時の滅菌システムではそうでした)、数をそろえようと思うなら1本20万円以上のハンドピースが、当時では一日2回滅菌して使うとして3種類50本以上必要なわけで、合計150本。現実的ではなかったわけです。だから、、、、メディケアで改善勧告を受けたけれど、滅菌の部類には入らないけど限りなく滅菌に近かったオイルライザーは手放せなかったために、登録解除になってしまいました(笑)。
ワシの優秀な後輩であるDrヨシダ登別は、先見の明があって、開業した20年前から来院患者分の数のハンドピースをそろえていた強者です。

そして問題はこれから。
根管治療に使用するファイルの滅菌です。加えてこの時使用する機器すべての滅菌です。上げたらきりがないくらい多くの物を患者に使用するのがモダンデンティストリーなのですが、これ、はっきり言って日本の保険治療では無理じゃないですかね。ワシは赤字覚悟で何とか踏ん張っていますが。
ざっと計算して、個別に用意するものをリストアップすると、個人1症例の根管治療に必要な機器・材料を会わせると(ハンドピース類は除く)軽く2万円近くになります。

では、その治療のもととなる保険点数を見てみると、、、、、
1根管あたり3日間来院で約6000円の評価です。厚労省はこれで何をしろというのでしょう。
個人的には常軌を逸していると思われる(笑)米国でのコストはここをご覧ください米国でも田舎は比較的安いかもしれませんがといっても10倍以上。都市部のそれは、日本の20倍以上のところまでありますからね。これなら、マスコミで騒がれることは全くない状況を作ることは可能です。

社会保障の大前提は、保険者が血眼になってコストを削減しようとしている現状がそのままで、きれい事では「社会保障を守る」です。彼らのバイブルがかつて厚労省の事務次官だった某氏が書いた「医療費亡国論」です。ここまで上り詰めた割には頭が悪い人だと思います。
しかし、社会保障は「お金」「時間」「リスク」を患者さん同士も「医師」も共有しているから成り立っているんだよ、、ということをもっと前面に出しさえすれば、無知なマスコミに対しても一言ものが言えるというものですがどうなんでしょ。。。

いろいろ情報収集すると、こういう情報が流れたとき、一番情けないのが日本歯○○師会のコメントということも付け加えておきましょう。


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