10月 03, 2019

ポルトガル歯科雑感からの研修医

ポルトガルはとても良い。正直、個人的にもまた行きたい街ベスト3に入るリスボンだ。私自身は2007年にクリニカ麻呂(笑)のセミナーで来て以来2度目の訪問。
1番はスイスのレマン湖周囲の小さな街々、2番はアイルランドのダブリン、そしてリスボン。いや、順番は付けられないな(笑)。

リスボンのタクシーの運転手が言う。ドクター麻呂を知っているか?世界にも名だたる超有名なドクターだが知ってるか?デンタルの勉強しに来たのか?
これって、麻呂の善し悪しは別にしても、凄いことじゃないかしら。歯科が街のそれなりのシティアイディンティティーになるって。まあ、山形に行ってタクシー乗って運転手が「ドクター高木を知ってるか?」てなもんで、凄いことだと思う。

そんなリスボン、矯正をしている若い女性が目につく。歯科診療自体もちろん全て自費な訳だから、将来に向けて自己投資をしているのかなと思った。そんなところにも、日本は素晴らしい歯科システムを持っていると改めて思う。向こうに滞在中に、ある米国のニュースが流れてきた。大きな歯科診療キャンピングカーの話で、有志が集まり無料ボランティアで歯科診療をするという話だが、もちろん生涯ボランティアポイントはたまるだろうし受診者もありがたい。心温まる話のようで実は違う。米国の歯科難民は6000万人を超す。世界一の歯科診療レベルを提供しながらこのザマなのである。
素晴らしい気勢で米国でプレゼンしたり賞をもらったり勉強しに行ったりして、何か自分が素晴らしくなったと思っている歯科医師達よ。
何を勉強しに行っているのか、それをどうしようとしているのか、6000万人の歯科難民の前でTEDしてくれ。何を覚えてきたのだ???日本で数千万人の歯科難民を作ることなのか? かぶれる前に考えよ!

研修医の話がオクネットから流れてきた。歯科医師臨床研修の現状・課題という話。ワーキンググループのメンバーや話の要約を読んで、これではダメだと思った。偉そうな話をしていても結局現場の研修医の話が全く反映されていない。研修医受け入れ施設の判定を研修医にさせていないではないか。しかも相変わらず3年研修医が来なかったら指定を取り消す話。おまえら、地方都市での受け入れの現状と実態が分かっていないのではないか。ふざけるなと言いたい。自分の今居る大学のソバでしか研修が受けられない受けたくても見学にすら行けないシステムを各大学病院が作っており、私も何度も神奈川歯科大学に意見を申し入れた。聞く耳持たないけどね。自院をブランド化させたいが為の研修医受け入れ施設の話は10年以上前から私は危惧している話を言い続けたが。特に都市部に多いこういういい加減な施設で何も分からない研修医がどんな待遇を受けるか言わずもがなではないかと。
当院は研修医が義務化される以前からの受け入れ施設ではあるが、ここ何年も研修医は来ない。当時から視察に来た厚労省とSMTM先生のお墨付きだった。しかし、そろそろうちはクビになるだろう。理由は田舎の遠い歯科診療所だからと言われた。田舎は診療レベルが低いと都市部の先生方(特に新宿の某人ね(笑))は皆言うからね(笑)。
昔は気合いの入った研修医が当院で研修をして立派に羽ばたいていっていたが、近年の疲弊した大学教育の中での学生達は意思も意欲も脆弱なまま、こぎれいなスキルだけを求めて残念な歯科医師になっている例を多く見かける。彼らは何も出来ないで開業する。

研修医受け入れ施設に一番重要なのは、歯科医師たる臨床哲学と歯科医師たる患者への思いをいかに自己の物とし実存させるが為の苦悩を経験できるかであり、ワクワク楽しい学習とお気楽経験は患者を不幸にしかしないことを実感することにあると思っている。だから今時の研修医は敬遠するのだろうな。
見事に頑張ってほしい、昨今の若い歯科医師達なのだ。私で良ければいくらでも応援しようじゃないか。。



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