5月 13, 2015

非常に悲しい主治医の対応

当院に定期的に口腔ケアと摂食嚥下機能訓練にいらっしゃる障害をお持ちの患者さんがおります。多くの医師の助けによりJCS=300からの回復で今では何とかJCS=3まで回復。座位も可能ですが、動脈瘤の再破裂の危惧から主治医から絶対安静とのこと。当然合併症も多く、ご想像の通りPEG経管栄養の状況です。当然家族は突然の死に対しての覚悟は出来ているワケです。

生まれたときから彼の母親は、ひたすら看病の毎日です。母親の思いとしては、生きている限り何とかもう一度口からものを食べさせたい、、、これは母親のわがままなのでしょうか。

主治医からワシは三行半を突きつけられました。オタクで口腔ケアを実施すると熱が出る。だから行かせないようにした。摂食嚥下訓練など良くなることは絶対にないし、悪くなる一方だ。おとなしくこちらの言うことが聞けないのならもう私にはこの患者を診る義務はない。この手紙を歯科が開けたらもう私はあとのことは知らない。。。。。
母親には延々と説教。何時死ぬか分からない状態でこんな事をしてこの子が何のために生きていると思っているんだ?(意味不明)もし死んだら私が警察に呼ばれて根掘り葉掘り事件性がないか取り調べを受ける。そんなのはまっぴらごめんだ。私の診断と処置になぜけちをつけるのか。

整理します。この主治医は患者のことは一切話さず、自分の話ばかりしているようです。ワシら歯科はこの患者の一生にどうやって関わっていけるか模索し、母親の幸福は、もしかするとこの障害を持った子供の幸福と共有できるのではないかと、ほぼボランティアの状態で可能な限り対応してきました。ワシらの彼らに対する対応が気にくわない理由が全く理解出来ません。

口腔ケアと摂食嚥下の重要性が叫ばれる昨今。そして世界でも名だたるPEG大国日本。何もワシらは内科医の診断に文句をつけているわけではない。人としての尊厳の一部に何とか介入できないものだろうかという希望と心の問題なのである。
病気だけを見て病気の人を診ない医療が蔓延する中、ワシらは病気と向き合う内科医を否定しているのではなく、この患者と真摯に向き合うための最善の方法がないのかディスカッションしたいのである。それが医師のプライドを傷つけると勘違いされるのなら、はなからそんな医療など不要ではないですか。

医科歯科連携などと声高々に言われてはいるけれども、「医師」のワシらには理解できない「病気に対する己のプライド」が邪魔する限り「歯科医師ごときに何が分かる」となってしまうわけで、患者の本当の幸福はまだまだ相当先の話になっているのが現状なのかなと、、、非常に悲しい気持ちになりました。
ワシらは歯科として、最低限の人間の尊厳を「口からものを食べる」という目標を持って頑張っています。
「病気」が人としての尊厳を奪っているのだから仕方ないだろう、、と言うには、あまりにも悲しい出来事でした。

口腔ケアごとき、、、、当院として続けるべきなのかどうなのか。理解してもらうまではかなり遠いなぁ。ましてや摂食嚥下、、、、、医科の協力がない現状でどうなるんだこれから???



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