本気の歯科関連介護の自称(笑)先人として・・・・・・
とある先生からの投稿で、介護現場で問題になっているのはインプラントではなく天然歯のトラブルだという投稿があった。訪問診療を積極的に行っている先生とお話をして確かにそれはそうなのだが、比較する母集団の処理ロジックにインプラントありきというバイアスがかかっている以上、その発言は腑に落ちないと。私も30年にわたり多くのインプラントを手がけているのだけれど、介護の現場でインプラントのトラブルはあまり経験はしていない。それはそうだろう。当たり前なのである。
問題は、インプラントが素晴らしいとか、天然歯の処置に問題がありトラブルが起きるとかではなく、介護の現場で「インプラントに出くわしトラブルを持っているときのプロトコルの不在や周知徹底」なのではないだろうか。だからインプラントがよろしくないという結論は的外れであることは同意するが、だからインプラントで助かったという結論はもっと的外れではないかと考える。
某大学で近畿エリアの介護施設にインプラントに関するアンケートをとった結果が非常に興味深い。それが何か分からない、見たこともない、トラブルに関してどうすれば良いかも分からないという答えを集計すると90%以上がインプラントに関して無知なのである。ところが、口腔機能改善を目的とした予防を含め、処置、外科、全身管理に関して、かかりつけの歯科医師の指示を仰ぐことが出来る、あるいは現場での処置を想像できる場合はほぼ100%になる事が容易に推測出来る。
要約すると、介護の現場で活躍している歯科医師は積極的な情報収集の元、インプラント以外の事に関しては、現場での創意工夫も含めほぼ完全なプロトコルが存在するが、インプラントに関しては、その多種性や構造やデザインやファイナルストラクチャーの多様性がフラクタルのごとくちりばめられており、リカバリーすら想像できない場合が存在するのである。否、数は極端に少ない(通常診療に比較して)であろうことはその通りなのだ。
極論を現場に言わせれば、当然、その状況すら想像だにできない以上「インプラント不要」にたどり着くのは仕方のない事ではある。数が少ないのだから。私は個人的には不要だとは思わないが条件がある。それは私が理解していると言う条件であり、多くのインプラント施術者がそう思っていることは否定したくない。ところがその条件が外れたときに、圧倒的に数は少ないけれど「凶器となるインプラント」は存在しうるのである。
プラットフォームの統一性や、口腔健康に関する思考ベクトルとそれに沿ったインプラントのトラブルシュートの確立こそ介護の現場に求められるようになることは重要なのだ。しかし、各インプラントメーカーがそこまで知恵を回せるのか、あるいは、私がやれば大丈夫と考える非科学的歯科医師が大勢を占めている限り、口腔インプラントは科学的な医療オプションとして、いつか痛いしっぺ返しを受けることは想像だに難くない。
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