29年前にK師の創設したHERZ会の定例会が昨晩行われました。師の思いを胸に黙祷から始めさせていただきました。
いろいろな関係で参加者はいつもより少なかったのですが、いつになく非常に興味深い素晴らしい内容でした。何がというと、久しぶりのlearn ではないstudyだったからでしょうか。最近はlearnばかりで若手の先生がバカになるケースが多々あります。K師はそれを一番嫌っていました。20年も前からね。
出口のない答えに目標を定めてあらゆる角度から取り組む姿勢が、まさしくstudyだと気がついているのかなみんな。
プレゼンに協力していただいた岡田先生も、関根先生も、今時こんな患者さん?というような見事な日常を切り取って皆に問題提起してくれました。
答えは一つです。幸福だと思う瞬間の提供でしょうか。しかしそこにたどり着く方法は沢山あるわけで、中には非常に効率がよかったりあるいはひどく回り道だったり。そしてその方法の結末が答えだと勘違いしている歯科医師も沢山います。
ワシらGPは、あらゆるファクターを自ら取り込んで確定診断を下し、その引き出しの多さから、可能な限りのバイアスのかかった考え方は排除し、しかし、あらゆる状況を想定して様々なフィルターを通して、一つの治療目標とそのメソッドを一瞬にして判断しなければならない宿命があります。
これがスーパーGPなんです。ところが世界で一番歯科医療技術が進んでいると言われる米国は、実はこういう部分でお話になりません。なぜなら、歯科医療上最悪の選択肢の結果である無歯顎ですが、その65歳以上の無歯顎者率は、日本が15%程度にもかかわらず米国は25%。イギリスに至っては43%とという高率。北欧の代表であるフィンランドでも32%なのであ〜る。(歯科医療のアウトカム国際比較2012年)
いかに我が日本のGPが優れているかの証拠じゃないですか?日本の歯科医療は社会保障です。再建治療に限って選択肢がありますが、基本は相互扶助(ユイマール(笑))。米国の医療はビジネスです。ですから高度に発達せざるを得ません。なぜならビジネスモデルの先進的開発が利益に直結するからです。
日本にこれを持ち込もうとしたり、あたかもそれが素晴らしいと勘違いするべきではありません。日本の数十倍の歯科医療費をかけてこの様ですからね。
ただし、日本のGPは明らかに米国のそれと比べて所得が低くなります。だって社会保障ですからお金と時間を患者と共有する定めなんです。
これがいやなら米国型歯科医療ビジネスに特化すれば良いだけの話で、その自由はあるわけです。でも、それが最高なんだ、だから素晴らしいと吹聴するのはやめていただきたいですね。病気を診ているかもしれませんが、明らかに社会を診ていませんから。
だってそういう先生でも、風邪引いたら保険証もって病院行くんじゃないかなぁ。。。何か大病したら保険で治療を受けるんじゃないかなぁ。。いやそうじゃないよと言うのなら、それはそれで素晴らしい(笑)。
そんなことを考えながら、お二人のプレゼンや問いかけを聞いていました。いやぁ、本当にこういう本当の話が勉強になりますね。偉そうな各種東京でのセミナー等の中身のなさが際立って来たひとときだったのでした。
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