7月 31, 2015

歯科医師の精神的疲弊

時々のぞいている(あまり参考になることがないから)British Dental Journalのsubscribeで読めるBritish Dental Associationにこんな論文が。

英国の歯科医は病んでいる。NHSの審査支払いシステムの複雑さが歯科医療の需給バランスに影響して、歯科医療現場が混乱している。その結果、多くの歯科医師が精神的な極度の疲労、高度な没個性化、達成感のなさを覚えていて、心理学的なアプローチが必要である。この高度なストレスの結果、歯科医師の8〜16%に心身症的症状が発現している。

ん?日本の話しじゃないところがミソ。実はこのシステムをもっとまねっこして、日本の社会保障ルールの中に入れちゃえっ、、って画策したのがかのSSI氏。歯科診療報酬改訂で過去最悪と言われた18年改訂の立役者と噂される人です。歯科医師を全く信用しないという前提で色々なルールが決まってしまいました。

この話対岸の火事じゃないわけで、確かにNHSの考え方は素晴らしいのですが、現代にマッチしていないことも確か。歯が痛いので何とかしたくても、ものが食べられないので何とかしたくても、英国の公的保険システムNHS加入歯科医院は、まあ少なくとも3〜4ヶ月待ち(笑)。だから金銭的に少し余裕のある人は、都市部の自費クリニックに行くわけで、そこの設備やシステムやスキルは、そりゃもう高いわけですね。
だから日本も、社会保障に100%頼って診療を続けるとこうなるよって言うサインと受け取らないとね。

日本は、英国はもちろん、欧州各国と比較しても非常にバランスが良いと感じます。米国発の米国歯科医療のグローバル化はどうかと思いますが、日本歯科医療システムのグローバル化(日本発でこの言葉が当てはまるかわからん)はどこの国も参考になる比較的バランスの良い仕組みではないかなと。アイルランドは英国のシステムを踏襲していますが、アイルランドの友人曰くNHSの歯科は何から何まで話にならないと(笑)。で、ロンドンあたりのNHS非加入の歯科医院が非常に良いのだと。でも、日本が一番良いと思うので、帰国のたびに日本(地方都市)の歯科を訪れるのだと言うが。。

確かに日本でも「あ〜もう、こんな保険の縛りのもとでやってらんねぇ」と保険診療を飛び出し、腕一本で勝負している歯科医師もそれなりに多くなってきたと聞きます。
が、ワシは思うが、それは、隣のおじさんを気軽に診療していく事が出来なくなることを意味し、ローカルエリアにおけるホームドクターの役割を捨てるという意味ですから、なかなか実行できないのも事実なわけですね。中には保険診療を担保に自費診療を勧めるという卑怯千万な歯科医師も沢山いることを考えると、確かに一定のルールは必要、だけど再建治療の幅を松竹梅でもっと大きく考える余裕、、が、日本発の世界へ飛び出す歯科システムではないかなと考えたりして。

日本の社会保障はゆりかごから墓場までと言う英国形社会保障をモデルにしている以上、この話は近い将来いや現在、日本の歯科シーンで起きている、起こる可能性のある出来事なんですね。

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