昨日夕方から、当院老人ホームベルメゾンKにて、口腔ケアと摂食嚥下のベーシックセミナーを、オープニングスタッフではない介護職看護師に対して行いました。
長らく10年以上にわたり、その重要性が叫ばれているにもかかわらず、なかなか現場に浸透しない、いや、少しずつは浸透しているのですが、以前書いたように、介護職の離職率や移転率の高さから、同じ施設において定着させることがきわめて難しい現
状を介護の現場は持っています。
摂食嚥下リハ学会などに参加しますと、介護の現場の素晴らしい歯科的事例をさんざん見せられ、羨ましい限りになります。積極的な介護の世界への介入は、多くの知識と経験が物を言うことが分かります。が、しかし、当院だって直属の介護施設ですから出かけていくわけじゃあない。もっと色々なことが出来る可能性を秘めているのですよ。
本日衛生士学校の授業で、アンチエイジングの馬鹿さ加減の話をしてきました。人は生き物は年を取るのです。アンチエイジングという言葉に少数でも違和感を覚えない歯科医師とかいるのだろうか。重要なのはいかにに素敵に歳を取るかなのだ。エイジングデンティストリーこそ、本来我々が直面する喫緊の課題であることを忘れ、何を目先のことで浮き足立っているのだろう。
事、インプラントに関しても、自分が出来るだろう最新の技術的興味はもちろん大いにある。が、その引き継ぎを考えたとき、ワシしか出来ないとか、最悪放置するとか、インプラントのような侵襲を与えた患者さんは身内のように大切なはずだからそんな無責任なことは絶対出来るわけがない。自分の歳を考えるに、あと何年フォローしてどうするかとか、真剣に悩むところなのである。あたりまえだけれどね。だから、最近はジュネーブ大学の某教授が言っていたように、この人が動けなくなったときストラクチャーはこれで良いのだろうか、その時どう変えていけば良いのだろうかという、インプラントエイジングデンティストリーたるベクトルの向きが変わってきているように思うのですよ。
ちなみに、当院施設にはどこかで埋入したインプラントが入っている入居者さんがいるのだが、何時何処でどうした理由でどんなインプラントを行ったか全く情報が無い。レントゲンも撮影できない。介護度4で自身の意志を表すことは難しい。衛生士がせっせと口腔ケアに励んだおかげできれいなことはきれいなのだが、自浄作用は全く期待できないので周囲炎に時々なってつらそうな時もある。ペグ(胃瘻)であるから、出来るならインプラントを外してあげたいが、それもままならないストラクチャーなのである。見るたびにアタマの中でいつも「どうしたもんじゃろなぁ」とつぶやいている。
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