11月 15, 2012

まさしくインプラント

インプラントの飯野裁判をずっと注視しています。司法という場所で歯科インプラントという村の地方条例の判断基準が、どれほど社会の中での判断基準と一致しているのかが、焦点ではないかと思っています。何度かの証人発言に原宿の大先生とかインプラントの大家の先生とか出て来ました。かつてこの先生はすごいなぁと思った先生も出て来ました。しかしですね、ちょっと腑に落ちない事が沢山あったのですが、それは先般の菅野先生の講演でスッキリしたりしたわけです。

本件とは無関係の画像です
端的に言うと、要は、カリスマとあがめた大先生がこうしていると言うことを、何の疑いも無くそうすることで、証拠があろうがなかろうが何の疑問も持たない、とにかくハウツーな体質が、ワシらの村には蔓延しているのではないかと。臨床研究の中でもRCT(ランダム比較臨床研究)のエビデンスなどほとんどない物だから、高名な先生の言うとおりに臨床を行うという、まあ、割と簡潔な方法を選んで比較的責任転嫁をしやすい形にして、いざ裁判とかなると、通常、一般人の法的な知的頭脳では、「ん?なんでだ?なんだかなぁ〜?」と言う印象を強烈に与えるんですね。
今回の裁判もホントそういう感じで進んでいました。被告本人の証言も同じですからしかたなのいか、でもさ、埋入本数だけは物凄い数だと言うことはワシでも分かるね。

しかし、ワシはだからといってインプラントを否定する訳ではないし、むしろそうなってしまった(歯を失ってしまった)時の選択肢としては十分すぎるほどの経験を持っているから、それが着脱義歯と比較して如何に快適なのかは、何より本当に多くの患者さんが教えてくれるわけで、それは科学論文からは見つけることが出来ないことは明白だが。ん?着脱義歯で満足している母集団をインプラントで満足している母集団と比較検討したって意味ないか。少なくともインプラントで満足しているグループは、いわば、あなたの知らない世界を知っている人達だと思うしね。う〜ん。

ところで、全く話は変わりますが、、政治評論家の三宅久之さんが亡くなったとのニュースに、また、まともな日本人が一人星になったかととても寂しい気持ちになりました。

では、本文に戻りまして、下記オクネット(奥村 勝 <okunet0728@nifty.com>)より転載です。年間購読料を払いますと、毎日色々な情報が送られてきます。


飯野裁判(吉村典晃裁判長)は11月12日に開かれ、飯野正之被告本人が証言した。インプラント治療において豊富な経験を有する被告は、弁護側弁護人から、インプラントシステムの経歴についての説明を求められ、リンコーブレードタイプ、京セラ、ブローネマルク、ITIとインプラントシステムを採用してきたことの経緯を説明した。特に、ブローネマルクインプラントについて、「1987年頃に友人に勧誘される中で、イェーテボリ大学の研修を受けてからスタートしました。しかし、臨床結果は芳しくなく成功率は70%程度でした。8440本埋入した中、50本は破折しました。主な理由は、フィクスチャーが脆弱で破折してしまうのです。結局1995年で止めました。その後は、フィクスチャーの表面性状が粗造のITI(ストローマン社)に変え、現在に至っています」と述べた。さらに、被告の今までのインプラント埋入本数について聞かれ「概略ですが、リンコー・京セラが2500本、ブローネマルク8400本、ITIが27500本になります。トータルは34500本になります」としたが、「被告が埋入本数は相当な数になりますが、被告より多くの本数を埋入した歯科医師はいますか」と聞かれると、少し間をおいて「恐らくいないと思います」と埋入本数における自負を覗かせる場面もあった。

本件のポイントであるバイコーティカル法について、パントモグラフによる画像の供覧をしながら、基本的右下5番、例外として右下6番の症例から、穿孔・穿孔してないと区別・説明し、臨床ケースも通常の治療方法として実施しているものと示したが、弁護人から「バイコーティカル法を選択する基準は、何かあるのですか。教えてください」と聞かれると、「やはり初期固定を得る必要があるかどうかですが、何か特別にあるかどうかというより、長年の臨床経験からです」とした。明確に基準を設けて選択しているわけでないことであった。一方、検察側検察官から「本件は2007年5月に起きたが、その1年前に検察側証人にもなった古賀剛人氏(古賀テクノガーデンデンタル)の論文が、商業雑誌に掲載され、そこには下顎小臼歯舌側穿孔症例の分類表が記されています。当時、貴重な論文とされていますが、それを読んで知っていますか。それで何か知ること、得ることがありましたか」と問われると、「神保町の三省堂で買って、その論文は知っていました。自分の失敗例を表に出すのは立派だなと思った」と答えたが、検察側から「それだけですか。自分が関心ある項目があったから買ったのではないですか」と再度問われと、「違います。たまたま手にしたのを見たのです」としたが、 "下顎小臼歯部舌側穿孔症例の分類表"について参考になり問題意識があったか、あるいは持つようになったか、ならなかったなどを確認する質問であったが、被告の表現が変わるので、裁判長から「検察の質問はわかりますか。なぜその雑誌を買ったのか、それは読みたい項目があったので買いに行ったのか、それともたまたま、何となく手にしたのが、その雑誌だったのかということなのか、被告の認識を聞いている。

被告は「パラパラと見ただけなので、ただ、古賀先生は偉いなと思っただけです」と繰り返したが、この質疑応答に傍聴席から失笑が起きる場面もあったが、一瞬の戸惑いを見せながら裁判長が「伝わらなかったかな・・・」と一言述べ、「検察は、尋問を続けて下さい」と次の尋問を促した。亡くなった患者・北村氏に行なった手術についての尋問が続けられ、初診の時から、事前説明、当初治療するインプラントの本数8本から7本になったことなどを行なったと主張する被告に対して「なぜ一回法にしたのか。患者は、どのような返事をしたのか」とする質問には、「患者の負担軽減、一部には自家骨移植を必要とする部位もあったので、新鮮な骨を生かすこともあったなどが理由。患者は、その説明に"お願いします"と了解しました」と述べ、問題はなかったという認識を示した。さらに、本件手術に立ち会い、法廷で行なわれた遠藤証言と被告の調書での手術中の流れ・対応に食い違う点を検察側から指摘されたが、被告は、一つ一つの指摘に説明し「異なった点は、彼女の勘違いではないかと思います。私は述べた通りです」と自らの主張を強調していた。

ドリリング、出血、口腔底浮腫、患者の失神、AED操作、人工マッサージ、救急搬送などの手術中の一連の流れの中での対応について被告は、当時を思い出すように説明する中で、その都度真摯に対応していたことを主張していた。検察側は再確認するためにCTの使用について言及。「本件はCTを使用していませんが、その理由とその選択に何か基準はあるのですか」と問われると、「被爆の問題もあり、CTを撮る手間、CTメモリーの容量の問題等々、そして、今までの臨床経験から今回のケースにはCTを撮らなくて大丈夫と判断しました」としたが、「そうすると、選択する基準は具体的にはなく、経験から判断するということですね」と検察側から念を押された。前歯部あるいは臼歯部の定義、バイコーティカル法について再確認もされた。全体に被告は観察側の尋問には、言質・言葉尻を取られないような証言が目立ったが、検察側・弁護側から「この法廷で大学教授、専門的開業医の各先生からの証言がありました。小宮山先生、萩原教授、古河氏などは、被告の治療を人によっては"あり得ない暴挙"という表現がありましたが、いかがですか」とされると被告は「それは、個人的な発言です。どの人もITI(ストローマン)を知らない人ですから」と意に関しない発言であった。審理も終盤にきており、注目された飯野裁判の結審そして判決へと迫ってきているが、今回の傍聴席には、坂田週刊朝日記者、米原NHK記者の姿も見られ、一般マスコミも依然として関心をもっている裁判であることは間違いない。

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