さて、症状ですが、79歳女性。夜間に上顎右側の歯根部が毎晩口蓋側に移動してその痛みが右側全体に広がる。頭部が左傾し右側の方が下降、それにつられて脊椎が湾曲して右側腰部が上がり左足が短くなると主張します。そして、上肢は何時でも温かいけれど下肢は季節を問わず常に冷たい。。。素晴らしい。まさにその通りですね。よくご自分を観察しています。
問題は上顎右側の歯根部が毎晩口蓋側に移動するという所で、多くの歯科医師はそんなバカなと言う話になるでしょう。針を刺すような痛みが上顎に流れるのだそうです。それが下顎前歯部の根尖にも移動するときがあるのだそうです。あと、頬骨が大きくふくれてきて10年前とは人相が違うと。この骨がふくれるときの痛みは耐えがたいのだとか。想像できますでしょうか。。。
ワシは一定の診断をここでしましたね。エヘン(笑)。まずブラキシズムマネージメント不足から来るカテコールアミンの上昇の陰に隠れている、神経ペプチドYの上昇を考察しました。つまり髙ストレスの状態が持続され、それ自体で髙ストレス状態をブラキシズムがマネージメントできないでいる可能性が示唆されます。本来ブラキシズムは生理的ストレスマネージメントイベントであり、どこかのとても偉いインプラントな先生達が口をそろえて言う「パラファンクション」ではあり得ないわけです。そして上顎骨は全て自由に呼吸に合わせて動きますから、咬合は当然変化します。
その結果、これもエビデンスが不足していますが、ワシが考察するに、、筋膜骨膜上の各神経終末は通常よりもその数が増え(マネージメント強化のためですね)普通では考えられない微小な移動や痛みが何倍にも増幅されるのではないかと考えました。ま、簡単な話です。これによりバランス維持のため右側関節腔の肥大に伴う硬膜一体組織としての人間の当たり前の状況が再現されたに過ぎません。
ワシが使用している鍼 |
まずは証より「桂枝加竜骨牡蠣湯」の40日分。神経終末の改善を図るためですね。
下関と完骨への低周波通電。スムースなブラキシズムを誘発させるためです。
手の三里足の三里への鍼治療。神経ペプチドYの濃度を下げます。
当然、精密検査をして歯周治療はキチンと進め、1年ほど前に作成したという上下のプロビジョナルは、アキシオグラフ測定後もう一度作り直します。
まだまだ先は長そうですが、頑張ってみますよ。ちなみに今まで2回来院されましたが、大きな変化はないし症状もそのままですが、「以前のような酷さはない」だそうです。ワシの予想では10年以上かかってここまで来てますもの、1年はかかるだろうなと言う予想ですが。