10月 17, 2017

ペコロスの母に会いに行く

久しぶりに舞台演劇を見た。その昔、八戸は高校生レベルでも舞台演劇が全国レベルで盛んだったはずなのに、最近は何か、なりを潜めていて寂しい感じがしていた。八戸では僅か一日の講演なのだけれど、すっかり有名になった「ペコロスの母に会いに行く」である。久しぶりに見る舞台であるにもかかわらず、舞台を埋め尽くす俳優さん達はどの方だってベテランで、素晴らしい演劇を見せていただいた。

原作が素晴らしいのは言うまでもないが、構成が素晴らしい。そして何より「認知症」という、ともすれば暗くなりがちな話題が底抜けに明るい。ぼけることは悪いことばかりじゃないねと言うスタンスはとても介護の現場を元気づけるのだ。

うちのスタッフがこんな事を言っていた。
「認知の方の世界観はとても驚くことが多い」
「そしてどこまでも不思議な世界でとても癒やされる」
のだそうだ。
「そんなところで仕事が出来ることはとても幸せで楽しい」
のだ。
涙が出る。なんて素晴らしいスタッフなんだろう。

劇を通じて一貫しているのは「認知は誰でもなるしすぐそこに来ている」と言うこと。だから「気が触れた」と引くのではなく「何か楽しそう」と寄っていく事が大切なのだろう。現実世界と黄泉の世界の中間とでもいうのだろうか、「あなたの知らない素敵な世界」とでも言えるのだろう。その知らない世界が、あるときは底抜けに楽しく、あるときは果てない過去の記憶だけがよみがえり泣き、あるときは独特の「認知な世界観」で人を鳥瞰する。エイジングを重ねる人間とは本当に素晴らしいのかもしれない。素晴らしい演技で思わずうならせてしまう藤田弓子さんの存在感が秀逸なのは言うまでもないが。

劇を見ていてふと思う。自分ならどうしようと。例えばそれは恐怖であったり、例えばそれは悲喜劇であったり、そしてそれはもうすぐそこに来ている現実として今自分には何が出来るのだろうかと。幸い私の両親はすこぶる快適な老人で有り、そうなりたいとも思っているが、いつ何時どこの扉が急に開くのか誰にもわからない。心だけの寄り添う問題だけではなく、どこまでも経済的な心配などがついて歩く以上、「終活」ではなくその前に「認活」をいかに快適に楽しく乗り切るのか家族や関係者との本気の寄り添いが強くなければならないだろう。
これって、今まで自分がどんな生き方をしてきたかと大いに関係があり、後ろ指指され組、、では、誰も振り向いてはくれない。

これから名古屋公演に続くよう。可能な限り多くの方に見ていただきたい、本当に素敵な演劇でした。今までもファンだった、市ノ瀬のおばちゃん(笑)、、いや、藤田弓子さんや、本物の俳優田村亮さん、ワハハ本舗の佐藤さんや、いつもひょうひょうとしている素晴らしい酒井さんや素敵な木村理恵さん、そのほかもう盛りだくさんの素晴らしい俳優さん達の素晴らしい世界を是非!超お勧めです。







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