クローズアップされる問題点が、地域や環境でこうも大きく変わるのかと改めて考えさせられました。
翌日曜日、東北大学の菅野太郎先生による、補綴のドグマ(歯科医展望に2年にわたり連載)という非常に興味深いお話。如何に我々歯科臨床界が、エビデンス無しの「誰か偉い先生がこれが良いと言ったからこうしている毎日」の非常に脆い狂信的な日常臨床のパラドックスを、巧みにお話しして頂いたわけです。高木兄ちゃんの言う「experiance based dentistry」にワシは大賛成なのだが、しかしよく考えるとこれには途方も無い時間が必要で、証拠集めも論文としては希薄かも。その検証実績こそ世に出して大いに語らなければならないという氏の意見もまた然りなのかなと。
話を聞きながら、世のインプラント大家、審美補綴の大家、と言われる先生方の理論の希薄さにもまた驚かされたりするわけです。あるいはJOMI等に出てくる常連の先生方の実験の危うさだとか、非常に面白かったですな。
短縮歯列がらみとか色々突っ込んで聞きたいこと盛り沢山だったのだけれど、もう少し氏の考察を学習してからでも良いだろうなと思い、今度八戸に呼ぼうと思っています。それよりも、歯科医療根本が抱えている問題意識まで掘り下げた話は、高木兄ちゃんくらいしか話せる人は居ないと思ったら、なんか同じ臭いのする先生じゃないだろうかと、ふと帰りの新幹線の中で思ったのでした。ある意味勉強していたり尊敬されているかもしれないけれど薄っぺらい大家って沢山居るんだなぁと改めて考えたりして(笑)。
ワシもいつも思うのだけれど、医療には2種類あって、疾病治療と再建治療だと。虫垂炎のオペに松竹梅はないけれど、糖尿で断脚後の再建には松竹梅あるわね。歯科ならカリエスの処置には松竹梅無いけれど(ここに松竹梅を持って来るバカが沢山居るから腹が立つ(笑))処置後の再建には松竹梅あるわけで、ところがしかし、腹立たしい事に、その松竹梅を付加価値的差別化と称してアメリカンビジネスの毒にまみれ、エビデンスとはほど遠いニーズを新たに作成していく非常に頭の悪い状況を作ったり。自分で自分の首を絞めていくことが好きなら別だけど(笑)。再建治療とて臨床研究の末の結果であるべきとの考えはまさしくそうね。其処に兄ちゃん的経験値を検証して加えれば鬼に金棒ですな。
歯科医療の本来の目的が、知っているけど分からなくなる最大の理由は、歯科医師の考える「普通」と患者さんが考える「普通」の乖離である事に間違いは無いし、だったら何が患者のためなのか再考する余地はまだまだ沢山あるはずなのに、あえてそれをしない歯科医師の何と多いことか。その理由はワシは知っている(笑)。
しかしなぁ、この20年以上、知りうる限りの理想的口腔内ビジョンを明確にすることを追い求めていたワシは、そのエビデンスの無さに結構がっかりしたのでした(笑)。
ところで、いつも素晴らしい講師チョイスをする兄ちゃんは本当にすごいなぁ。。。と
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